あのさ、お花見行かない?

あのさ、お花見行かない?

 

冬の寒さが一段落して、日差しが優しくなってきたと感じるようになると、そこまで来た「春」を見つけに、お出かけしたい気分になります。「今年は家の近くにあたらしい“お花見スポット”を発見するぞ!」などと意気込んでみたりするのも、春を迎える嬉しさの表われかも知れませんね。ところで春を表わす言葉といえば「さつき(田作業を始める五月)」「さおとめ(田植をする女性)」「さなえ(早苗)」「さみだれ(五月に降る雨)」など、あたまに「さ」のつくものが多く浮かんできます。

 

この「さ」にはいったいどんな意味があるのでしょう。

 

考えてみればお花見の主役(脇役?)「さくら」にも「さ」がつきます。 じつはこの「さくら」も「さ」と「くら」が組み合わされて出来た名前なのです。 一説には「さ」とは、農作業を守る「田の神様」を示すとされています。 「くら」はその「乗り物」(乗馬に用いる「鞍(くら)」と同じ意味合いです)。 つまり、「さくら」とは「田の神様の乗り物」という意味なのです。

 

春の訪れを告げるように一斉に咲く薄桃色の桜花。昔の人たちはその花が散るのを目安に田仕事に取り掛かっていたそうです。 満開の桜花の下、ひらひらと舞い散る花びらを愛でながらのお花見も、田仕事を前にした息抜きと、田の神様に寄せる信仰が相まった行事なのでしょう。

 

賑やかなお花見も楽しいけれど、今年あたり、“我ひとり桜花の上の神と語らう”そんなロマンチックな花見もいいかもしれません。

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